2014年12月3日水曜日

ふることば







おはようございます。
窓を開けたら、とても冷たい空気にひやりと頬をなでられて、ひゃっと思って、ああ、冬なのだ、と実感しました。いつのまに冬になったのでしょう。ラジオで話している人の声もしゃがれています。彼は、風邪をひいているのでしょうか。わたしは元気です。

来週の土曜、13日からSUNNY BOY BOOKSで「展示フェア」はじまります。

 + + + + +
ふることば  ヒロイヨミ社
期間=1213日(土)- 1230日(火)
平日 13:00-23:00 / 水・木 15:00-22:00
土日祝 12:00-21:00 / 定休日なし
*1229日(月)30日(火)は12:00-21:00となります。
会場=SUNNY BOY BOOKS
152-0004 東京都目黒区鷹番2-14-15
(東急東横線・学芸大学駅東口徒歩約5分)
 + + + + +
今回、「恋」をテーマに『ヒロイヨミ』をつくりました。いや、今まさにつくっています。明けても暮れても恋のことば。自分のことを、気がふれているのではないか、とこれまで何度か思ったことがありますが、そんなことはなかったです。ぜんぜんでした。もの書くひとびとの熱さと激しさといったら。「恋と云ふ心に住める生きものゝ猛きを放つ一人の人に」(与謝野晶子) おそろしいです。並のひとでは、あたまからたべられてしまいそうです。でも、こういうことをことばにする人がすきです。ことばにできなくて、ことばにするくらいなら、いっそのこと、という人もいて、そういう人は、いとおしいです。
さて、作業はなにもかもが遅れがちで、DMの発送もままならず。どなたに送って、どなたに送ってないのか、もはやあやふやです。二回届いたら、二回いらしてください。届かなくても、いらしてください。SUNNY BOY BOOKSはよい本屋さんです。
店主の高橋くんとはじめて会ったのは、2011年の冬、清澄白河の「しまぶっく」で。本関係の人たち何人かでのみましょうということになり、夜に待ち合わせたのでした。はじめまして、とかなんとか言いあって、どこでのもう、とか話したりして。ういういしいやりとり。そのとき、店じまいする渡辺さんをさっと手伝いだした高橋くんの、あまりにもさりげない動きに、なんだかいい子だなあと思ったことをおぼえています。それから、書肆サイコロでやらせてもらった「活版とことば」展を見にきてくれて。那覇の言事堂でも会ったりして。年をとったせいか、むかしの話をするのがすきです。むかしといっても、3年前のことですが。ずいぶん時が流れたような気がしています。
去年の6月にオープンした高橋くんのSUNNY BOY BOOKS。いくたびに、棚をみるたびに、うれしい気持ちになります。陽射しそのもののような本たち。太陽にむかって、すくすくのびていくこころ。この世界には、まだまだ読まれていない本がたくさんあって、自分にはまだまだ知らないこと、わからないこと、感じてないことがたくさんあって。ぐるぐる目眩がして、もっと本を読みたくなります。近所にあったらいいのになあ、と思います。
そういう本屋さんです。
展示フェアでは、ヒロイヨミ社の販売中のもの全点と、あわせてananas pressのものも置いてもらいますので、お手にとってごらんいただけたらさいわいです。
では、夜にはまたきっと寒くなりそうです。風邪など召されないように、あたたかくしてお過ごしください。よい一日になりますように。

追伸 写真と本文はあまり関係がなくて、これは2011年にシドニーで撮ったものです

2014年10月3日金曜日

10月のおしらせ




空の青が澄んでいて、目にしみるような10月です。

10月3日金曜日、今日から沖縄で山之口貘生誕111年記念「貘展」がはじまります。お世話になった白井さん、阪田さん、みなさま。どうもありがとうございます。
ヒロイヨミ社は、昨年12月、書肆サイコロでの貘展の際につくった『猫ねずみりんね』を出品しています。貘さんの詩3編と、3人の方々(秋葉さん、宮浦くん、大輔さん)の文章を収めた本です。お手にとってごらんいただけたら、うれしいです。
送られてきた会場の写真に、那覇の青い空や近所の白い建物まで映りこんでいて、見ていたらとってもとっても行きたくなってしまったけれど、気持ちだけ、翼をつけて飛ばします。ぶじに届いたら、知らせてください。
期間中、多くの方々が貘さんの世界にふれ、その詩を読み、その存在を近くに感じるのだろうなあ、と思うと、しあわせな気持ちになります。今日が迎えられて、よかったです。
13日まで、どうぞ、よろしくお願いいたします。

再来週、早稲田のブックカフェCAT'S CRADREで開催のBOOK FESに参加します。ヒロイヨミ社は、なにかあたらしい(ちょっとした)もの、つくれるかどうか、まだ(まだ!)わからないのですが、なんだかたのしそうですので、よかったらぜひ、本をさがしにいらしてくださいね。会場でお待ちしています。

independent bookstore’s BOOK FES.2014
1012日(日)、13日(月・祝)10時〜18時 早稲田・CAT'S CRADREにて
アニマル洋子/絵本の家/水中書店/タイガーブックス/2手舎/ヒロイヨミ社(12日のみ)/ブックエンド(from富山)/boid/松田水緒(ペインター)(13日のみ)/古本ユニットricca/chez an(スイーツ)

SUNNY BOY BOOKSのホームページで、コラムを連載中です。先日2回目更新しました。
今回は、読むこと、読むひと、言葉と出会うこと、などについて。読むとは、秘められているけれど開かれた行為でもあって、不思議なそのことに、思いは尽きません。毎日読んで、毎日考えます。読めば読むほど、考えはあたらしくなっていって、確かなことは、なにもないような気がしてきますが、気がむいたら、どうぞ読んでみてください。

かまくらブックフェスタがおわって約3週間たちました。今年も、ありがとうございました。今年も秋の鎌倉で、さまざまなことがありました。階段から滑落したときの痣が消えてしまって、すこし淋しいです。

昨日、布団の中で本を読んでいて、うとうとしかけたとき、耳元で蚊の羽音がしました。まだいるのだ、とおどろいて蚊遣りを焚き、煙がこもるとくるしいので窓をほそく開け、遠い虫の声を聞きました。いったいどこにいるのだろう。そんなにちいさなからだで、こんなところにまで声を響かせて。そのうつくしい幽かな声で、こころならずもヒトの雌を誘惑する彼。相まみえることは、永遠にないけれど。隔てられているからこそ、思いをつのらせているのかもしれません。

よい日に、よい月に、なりますように。


追伸 ひさしぶりに電車にのって(どきどき)、パスポート更新に(どきどき) 写真はシドニーの猫です

2014年9月6日土曜日

かまくらブックフェスタ 2014


9月14日(日)、15日(月・祝)と開催されるかまくらブックフェスタに、今年も参加いたします。
ヒロイヨミ社としては、はじめての出展ですので、気持ちもあたらしく、鎌倉にむかいます。みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。
詳細はこちらのHPをご覧ください。

ヒロイヨミ社の本とあわせて、白井明大さん、山羊の木山田理加さんの本・作品も販売します。
活版印刷(活字)でつくられたもの、一年目の「活版とことば」でも紹介しましたが、四年目の今年、また見ていただけたらと思います。

江崎満さんの森羅万象展も、たまらなくたのしそうですね。
どきどき・むらむらしました。

ananas press「Circle」が終了して、はや一ヶ月。みなさまに作品をお返しして、たのしい時間が終わってしまいました。でも、展示は終わったけれど、本は、作ってからが長いのです。これからも、がんばっていきます。
あらためて、どうもありがとうございました。
『Circle』はひきつづきcircleで取り扱ってもらっていますので、見かけたら、ぜひ手にとってみてください。ギャラリーでは、昨日から江本典隆さん(えもやん)の写真展、はじまったようです。
おめでとう。

このところ、涼しくなったり、また暑くなったりです。今日は暑いです。蟬が鳴くかな。
どうぞお身体に気をつけて、夏のつかれなど出ませんように。
たのしい秋でありますように。
お時間ありましたら、ぜひ鎌倉にお出かけください。


追伸 ヒロイヨミ社の新作は…ありません…

2014年8月1日金曜日

『Circle』ができるまで







8月になりました。

わたしも『Circle』ができるまでの話を書こうとしているのですが、暑さと酔いであたまがぼうっとしてしまって、うまく書けない気がします。

世界中から見つけてきたマルの写真と、好きな本の一節と、5人のアーティストたちの作品をつなげて、一冊にしました。どうつなげるか、入れ替えたり加えたり取り去ったり、なかなか時間がかかりましたが、ananas pressらしい円になったように思います。

6月はじめ、名古屋のaにラフを送ったら、あんなにおもしろいかたちができてきて、わあ!と思いました。二人でつくるよろこびって、こういうことです。一人ではけして生まれないものが生まれる。それが次第にかたちになっていく。その目眩くようなたのしさ。
みなさんによる作品をはじめてみたときも、わくわくしたり、痺れたり、感動のあまり涙が出たり、思い返せばまったくドラマチックな日々でした。
やっぱり本をつくることは、旅に出ることに似ているなと思いました。五感が世界にひらかれる。いつもとちがう景色がみられる。

「いつかあるとき、世界はまあるくてぐるりぐるりと歩いてくことができました。」

わたしたちが、これまで歩いてきた場所、出会った人々、交わした言葉、読んだ本。
そういうものすべて、今までも今もこれからもまるまる含んで、この一冊になりました。
へんな本だなあ。本ってへんだなあ。
そう思ってもらえたら、つくってよかったです。

8月4日(月)までcircleにて開催です。
真夏の陽射しにじりじり灼かれて、今日はギャラリーの近所にすむ猫の肉球をさわりすぎて、すこしだけ、いやがられました。でも、明日も見かけたら、さわるつもりです。

お時間ありましたら、ぜひcircleでお会いしましょう。
どうぞ暑さには気をつけて。

(本の写真はコロンブックスの湯浅さんによるものです。どうもありがとうございます…)


追伸 勢いあまってハグしたら、純くんはプニプニ、岳朗さんはゴツゴツしていて、絵そのまんまなのだなあと思いました

2014年7月7日月曜日

Circle in circle


ananasDM-ura.jpg



雨の七夕です。カレンダーをみるたびに、もう7月? と思ってしまいます。毎日思ってしまいます。年が明けたのは、ついこのあいだのような気がするのに。大雪の記憶もまだなまなましいのに。中止になった新年会もまだやっていないのに。ノブコさんは、マイペースだよね。このあいだ、ものすごくマイペースだなあとつねづね思っている方からいわれてしまいました。そうなのかなあ。そんなことないんだけどなあ。
さて、5年ぶりにananas pressの展示をやります。あたらしい本『Circle』、circleへ、ぜひ見にいらしていただけたら、うれしいです。
わたしたちのまわりの5人の方、その作品と人柄にとてもひかれる方々に、この本のために、作品をつくってください、とお願いしました。どれもすばらしいものです。どうぞたのしみになさってください。
みなさま、ほんとうにありがとう。ありがとうございます。本をがんばってつくっています。たのしんで、おもしろがっていただけるものになるようにと。
5年前の展示からは、変わったこともあれば、変わらないこともあって。今はそのどちらも、すてきなことだと思っています。さまざまなめぐりあわせで、こうして本を作ることができて、こころからうれしくて、たのしいです。その有り難さは、年をとってみないと、ほんとうにはわからないことでした。もちろん、たのしいだけでなく、無事にできるかどうか、よいものになるかどうか、心配で抜け毛もふえてはげそうでこれまた心配ですが、それもこれも、やっぱりたのしいです。ふたりではげましあっています。
わたしたちの描いた円、なんだかへんかもしれませんが、ひらかれた、おおきな、はずむような円であったらいいなと思います。だれかの(じぶんの)こわばったこころを、まるくやわらかくするような。
そこまで、届きますように。
     

ananas press exhibition
Circle
2014.7.18 (fri) – 8.4 (mon)
12:00-19:00
 火・水・木 休み
ananas pressの新しい本『Circle』を中心に、
これまでにつくった本を展示販売いたします。また、『Circle』のために
つくられた、5人の友人たちによる作品も、あわせておたのしみください。
参加作家:Anna Gleeson狩野 岳朗fancomi/星 幸恵/松本 亜季
在廊予定日=7/18, 19, 20(2人とも) 7/26, 27, 8/2,3(山元のみ)
—————————————————————————————
7.19(sat) circle gallery & books
オープン1周年のこの日に、
opening party
を開催します。18時より。どうぞご参加ください。 
—————————————————————————————
circle gallery & books
186-0011
東京都国立市谷保5119 やぼろじ内 tel/fax 042-505-8019

追伸 ひさしぶりのアナナ活動で、体力、視力、女子力の限界をひしひしかんじています

2014年5月22日木曜日

雨のワークショップ






晴れていた空がにわかに灰色に染まり、雨がふって、やみました。泰山木の木にしたたる雫が、風にゆれる若い葉たちが、五月の光をうけてつやつやきらきらかがやいて、それをじっと、じいっとみていると、この木だけがわたしのことをわかっているのではないか、そんなふうに思えてくるからふしぎです。木はいつでも、つよくてやさしくてうつくしいのです。

さて、雨のワークショップのお知らせです。
わたしがあつめた雨の言葉と、前田ひさえさんによるドローイング、SWEETCH笠尾さんのお菓子を、おたのしみいただけたらと思います。
詳細はこちら、美肌室ソラのサイトをごらんください。

いま、準備をすすめているところです。
あつめた言葉を、あらためてくりかえし読んでいると、さまざまなことに気がつきます。どうしてすきなのか、いいと思ったのか。言葉のなかを、深くもぐったり、自由におよいだりしています。五感をたよりに。
とても愉しい作業です。やはりどこか、なまめかしさを感じる言葉にひかれるみたいです。のみこまれそうになる、あやうくなる、みうしなう、そんな状態になるのが、すきなようです。
などとそんなこと、あがり性で口べただし、照れてしまって、うまく話せない、どころか、なにをいいだすやらわかりませんが、なにかすこしでも、つたわるものがあれば、と思います。
冊子をお持ちかえりいただけるように、言葉を刷った紙や、雨というテーマにあわせてえらんだ紙を用意します。その場で自由にくみあわせて、自分だけの(本)をつくってください。

しずかに降る雨は、やわらかな女神。6月15日にも訪れて、わたしの舌をやさしくぬらしてくれるといいのになと思います。

いままた雨がふりだして、鳥たちがあわててどこかへ飛んでゆきました。
いそがしい空です。   

  + + + + +

ウィリアムモリスでの「ヒロイヨミ社の(本)」展は、5月29日(木)まで開催です。
ご来場、ご感想、どうもありがとうございます。
ひきつづき、どうぞよろしくお願いいたします。


追伸 「Let It Go」(アナと雪の女王)をみて自分をふるいたたせています

2014年4月23日水曜日

ヒロイヨミ社の(本)


来月、「ヒロイヨミ社の(本)」という展示をします。
これまでに作ったもの、あたらしく作っている『白の詩集』、いずれも、コーヒーをのみながら、ゆっくりお楽しみいただけたら、と思います。

ヒロイヨミ社の(本)

2014年5月7日(水)〜5月29日(木)
13:30〜18:30
日・月・第3土曜(17日)休み

於・ウィリアム モリス
珈琲&ギャラリー
渋谷駅から徒歩約6分
150-0002 渋谷区渋谷1-6-4 Tea Neat 2F
電話03-5466-3717


案内状の絵は、大平高之さんにお願いしました。
このはがきじたいが(本)のよう、と、ある方にいっていただき、嬉しかったです。
大平さんの絵のおかげだと思っています。

  + + + + +

昨秋つくった3冊の小さな本『夜の詩集』『月の句集』『恋の歌集』を、現在のところ、以下のお店で取り扱っていただいてます。
どうぞよろしくお願いいたします。

東京〉
SUNNY BOY BOOKS(学芸大学)
B&(下北沢)
Amleteron(高円寺)
〈神奈川〉
〈長野〉
栞日(松本)
〈名古屋〉
ON READING(東山)
〈京都〉
恵文社一乗寺店(一乗寺)
〈奈良〉
とほん(大和郡山)
〈山口〉
ロバの本屋(俵山)
〈徳島〉
uta no tane(徳島)
〈香川〉
touca(髙松)
〈沖縄〉
言事堂(那覇)

  + + + + +

大阪での貘展、どうもありがとうございました。
キャンドルナイトでは、「襤褸は寝てゐる」をよみました。
夜の底を、貘さんといっしょに歩いている気持ちで。

またどこかで、お目にかかれますように。


追伸 きのう蚊がいました