2011年12月18日日曜日

おわりとはじまり





書肆サイコロでの「活版とことば」展が終わって一週間、ようやく落ちついてきました。


自分の作ったものたち、好きなものたち、それらを並べた展示空間を、わざわざ足を運んで見にきてくださる、見ていてくださる、その様子を見ているだけで、しあわせな気持ちにくるまれるようでした。こうして思いだしている、今も。


開いた頁が鷗や蝶のように、あちこちでひらりひらりと。

もの読むひとは、われを忘れているせいか、無垢で無防備で、愛らしいと感じます。うつむいて、目を伏せて、眼と手と指を、動かして。どう読んでいるのかな?と、近くにいるのに遠い気がするその人のあたまの中を想像するのも、また愉しいこと。言葉が目から心に、滞りなくうつっていって、内部でなにかいい感じのできごとが、起こっていたらよいですが。





6日間通ったせいで、すっかりあの場所に、あの場所で会った人たちに、情がうつってしまい、まだ喪失感をひきずっています。しつこい性格。それぞれの人たちの表情や身振りや声がぼんやり浮かんでは消えて、行く手を照らす灯りの明滅のようにも思えます。


本が好き、というくせに不器用ゆえに本は作れず、本のようなものばかり作ってきました。本にあこがれ、本を夢みる、永遠に本になれない紙のかさなり。どうしたらもっと本に近付けるのか。いつか、本のミューズの蹠をくすぐることは、できるでしょうか。背のびして。


終わったことはさびしいけれど、(とびきり)おもしろい友人がたくさんできたような気がして、またなにかあたらしい、心躍ることごとが始まっていきそうな予感がしています。


どうもありがとうございました。

これからも、社員一同、拾い読みに励んでまいります。

またお会いできますように。





追伸 社員ふえました