2010年11月10日水曜日

栞は旅人





ある日、フランスから不思議なはがきが届きました。

言葉はひとこと金色のペンで「Bonjour!」、裏にはモノクロフィルムをコンタクトプリントした写真があって、でもどこの写真なのか判然としません。どこまでもまっすぐに続く道や、洞窟や、岩壁や。


もしSHIORI PROJECTのホームページアドレスが印刷されてなければ、なんのこっちゃと首をかしげるのみだったと思います。


さて、はるばる海をこえてやってきたこの栞、どこに挟もうかなあ、と考えたすえに手にした本のページには、こんな言葉が記されていました。


 矢車菊の苦い根を土の側から噛んで

 水色の空に散る星々を土の中から見つめる

 知識もなく知性もない

 あるのは心のゆれ

 どんなに追い払っても逃げない記憶という小動物


 管啓次郎『Agend'Ars  アジャンダルス』(左右社)


管さんの本を読んでいると、今すぐ家を飛び出してまだ見ぬなにかやだれかに出会いたい、そんな衝動と、まだまだ、もっともっとたくさんの本を読まなければ、という焦燥に引き裂かれます。



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